トップページ武田倫子の 「行った・見た・聴いた」作曲家マーラーへの旅

作曲家マーラーへの旅

 7月ともなれば、主なコンサート会場は休みに入るので、夏休みにどこかへ出掛けたい方々へ、何か一つテーマを持って旅するのは如何?

 7月7日はグスタフ・マーラーの誕生日。A・ロラーと共に《迫り》を開発したり、近代的照明を活用し、オペラ座舞台転換の黄金時代を築いた音楽監督も夏期は、もっぱら作曲に没頭できた。現在でも夏場に創る作曲家は多い。マーラーのシンフォニーを聴いていると、夏の日の透明な情景が浮かんでくる・・・。

 少年時代は、メーレン地方のイグラウ(現チェコ)で育つ。ハプスブルク帝国時代の重要な駐屯地で、劇場もあった。幼いグスタフは、ハンガリー・クロアチア・プロイセン等の軍楽隊のトランペットや太鼓の音を常時、耳にして成長。地方の民謡や居酒屋での歌もすぐ覚えてしまった。「子どもの不思議な角笛」には巧みにこれが織り込まれていて、交響曲7番の初演に際しても本人は「子ども時代、遊んでいた森にポリフォニーを感じ、それが動機となっている」と述べている。

 イグラウへは、ウィーン大学横よりのプラハ行き直通バスがお薦め。さらにローカルバスバスを2回乗り継いで、生地カリシュトまで足を伸ばす事も可能。

 さて、アッター湖畔、シュタインバッハ(フェックラブルック駅からバスか貸し自転車で)には、夏の作曲の家がある。

内部は弾いていたベーゼンドルファーのピアノのみで、宿は別にあり、純粋に作曲に打ち込むためだけのシンプルなもの。清浄な空間で、簡素ながら、ぐっと伝わってくるものがあり、心洗われる想いがした。スケジュールきっちり派だった彼は、合間に水泳や山歩きもして体力のバランスに気をつけていたという。 −ここで第二・第三交響曲が作られる−

「亡き子をしのぶ歌」が作曲された、ヴェルター湖畔マイアニック(クラーゲンフルトよりバス)にも夏の館が残っていて、妻アルマの手記にかつての楽しかった日々が登場している。 −後に長女がここで他界−

 一例ながら、夏の一日、たまには遊びも兼ねて、自転車でその湖畔を走ったり、湖で泳いだりしながらゆったりと、その美しい曲想の中に入ってゆくのも、興あることではないでしょうか・・・。

2003年7月たけだのりこ